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この日
 今日、B3オーナーが言った言葉はなかなかに響くものがあった。
「ナオが戻ったから、指がボロボロになるまで登らなきゃならねー。」
それぞれが、それぞれを刺激し、高めあう。
今日のセッションで、帰ってきてからその役割を果たせない自分にひどく腹が立った。

 2年前、北海道に出発する前日。
クライミングジムB3で最高のセッションをしていた。
この時トライしていたのは、俺様の推定<二段>のプロジェクト。つまり<初段>ではないことが明白な、という意味ね。室内においての<二段>は、外岩のそれとは比較にならないほどの難易度と考えているが、この時のプロジェクトは他の課題と比べても飛び抜けてホールドの小さい、しかもダイナミックな動きを要する難しいモノだった。俺様やB3オーナーが”小さい”というホールドとは、世を憚ることなく言わせてもらえれば、日本でムーブを起こせるクライマーは五人程度といえるモノで、それは先日やって来たやたら強いガキ共を引き合いに出しても明白だし、少なくともそんなに指の強いクライマーがいるくらいなら評判になっているはず。そんな極端に難しい課題を前に数人でセッションしていたわけだ。ゴミカチと呼ばれる、ひどく小さいホールドに触り慣れているローカル達も、セッションの輪の中でムーブを探っている。もちろん俺様は自分の設定なので、セッションリーダーであるべくムーブを構築していく。しかしそのトライを見ていたジムのオーナーが、凄まじい気合いでセッションに混ざってくると様子は一変する。相手は実力実績共に尋常ではない相手だ。ちんたらムーブを作っていたら喰われちまうし、そんなことは当たり前だと思っている強者でもある。彼とは強さと弱さをそれぞれに知っている仲とは言え、そこまで極限の直接対決はこの時が初めてではなかったか。我々二人以外にもそれぞれの仲間達がセッションに加わっていたが、少なくとも我々二人は二人だけの世界にいたと思っている。
 この日の結果は俺様の設定なのにジムオーナーが一手先を保持し完敗。二人ともヘロヘロボロボログッタリになるトライを重ね、最後は本能的動物的な、テクニックとは無縁の所での勝負だった。結果から考えれば、彼の方が生命力が上だったと思うしかない、高度なセッションだった。室内のプラスチックホールドを前にして、至高のセッションなんてと思うが、俺様の人生に於いてトップ3にランキングされる素晴らしいセッションであった。

そして今日、ヤツの伸びた鼻をへし折れるのは俺様しかいないことも再確認した。
by b3plus | 2005-04-02 23:04 | 登る
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