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お披露目会・前日
 鳥葬を連想させる空の色とカモメの数。天使も降りてくるのか来ないのか。

c0028573_22585726.jpg 前日の夜から降り出した雨は、願いも空しく昼前まで吹き付けた。しかし大量の雨雲も増毛の強風には勝てないようで、しばらくすると雨上がって道路も乾き始める。この日の予報は風速23m。約台風。この強風で日本海は液体からゲルに姿を変え、ぶちまけたエネルギーの果ては泡となって、中古車相場を下げるのさ。荘厳壮大な表面張力を前にして、ボルダリングしようなんて発想が破滅的だ。そういえば、台風が来ると興奮してしまう学生を題材にした邦画がありましたな。我らヨソモノ三名は、映画のネタよろしく、高校生マックスの興奮にあおられ増毛を出発する。こんな風を強風と呼ぶわけにいかないということなのか、車外には今にも飛ばされそうなお年寄が自転車にしがみついている。

 雄冬新エリアの<ザ・ガーデン>。岩のコンディションは申し分無いのだが、なんせ風が強い。高さ5mぴったりの<ウィル>は、さえぎるモノ無い峰に悠然と立っている為、強風を真正面から受けている。時たま吹き付ける雪も<ウィル>にぶち当たり、空へと返されていく。
 マックスといくつかラインを引いて後、俺様とっておきのメインのスラブに手をつける。ほとんど垂壁か。最初は弱点から、大きなクラックから分岐して右抜けするラインをトライする。マックスは元気いっぱい、すぐに上部までのムーブを構築する。俺様は指待ち。ぐちゃぐちゃのムーブしか起こせない中頑張る。そして指もあったまって、マックスの高度に到達して気付いた。なぜマックスがそこでスタックしているのか。雄冬特有の、びっしりと張り付いた苔だかカビだかが、やたらと滑るってことじゃない。そんなことは前から知っている。気付いたのは“風”だ。高度3mを超えようというところで、凄まじい風が、本当に凄い風が、体と岩の間で渦巻く。滑って信用ならない左足スタンスに、二本指だけが薄くかかる右手。そんな状態で、ギリッギリ届くリップまでジワジワ立ち上がらなけりゃならない。なのにそのムーブをおこそうとすると、ビュウワーと強風がやって来て岩から体を引っぺがす。核心を越えようと、背後の木々よりも高度を上げると風がやってくる。めちゃくちゃ怖い。恐い。恐ろしい。風を波に例えてセットを読む。ウソ、読む努力をする。ひどい時なんぞは、雪がBB弾をキャリコでぶちまける様に吹き付ける始末。バババババッてさ3000発の弾幕。もう氷壁をソロで攻めるアルピニストの気分。上からビデオ撮影していたら、真下から吹き上げる雪でモザイクフィルタがかかる位凄い。
 グレード?しらねー。追い風参考だし。俺様のムーブとマックスのムーブを同じ台には乗せられないし。あいつは日没後、凄まじいランジで完登したのだから。俺様が先に登ったことを後悔させる程カッコいいムーブ。初登者は奴であるべきだった。マックスはこのトライを通して、百万回トライの真意を代弁してくれた。できないことにトライし続けることがカッコいいんじゃない。1回1回のトライごとに進化することがカッコいいんだ。進化を忘れた奴等に百万回トライはできない、自己の限界は超えられない。
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 思わず、マックスと出会った小川山のセッションを思い出した。
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by b3plus | 2004-11-27 18:38 | 登る
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