前日暴れまわった強風もなりを潜め、とは言っても増毛特有の風は常設展示中だが、“今日こそは”の願いも空しく、より低くなった気温がヤル気をこそいでいく。見事に、この土日だけ天気が悪い。金曜までは暖かく、月曜日からまた暖かく?ふざけんなっ!
本当に天気が悪いので、それ程クライマーが集まらなかったとしても仕方がないと諦めていたものの、予想に反して、参加者が多い。“
増毛のパン屋はスカンピン”の施工業者や、増毛町役場の想像に反して、いや全国のクライマーの想像に反して、雪のちらつく中、約20名も集まった。役場の好意で開けて頂いた廃校には、たくさんの車。さっそく校舎内にてミーティングを行い、雄冬でのルール確認とする。
札幌から、旭川から、等距離にある雄冬ならではのセッション。それもホールドに雪が積もり、雪が目に入りながらなんて。質の高いセッションが目的なら、トライ回数なんて関係ない。セッションという言葉、使い方が正しいかどうかはわからないけれど、初心者から上級者などレベルを問わず、同じ岩、同じラインでトライを繰り返し、その経験や感動を共有するってことかな。カッコいいトライをしている人は、レベルを問わずカッコいい。
岩石公園内では風が弱い為、雪がどんどん積もってしまう。ので<ザ・ガーデン>へ移動。ただしアプローチが大変危険。巨石が堆積って表現、なんだか納得いかないのだが、そんな表現しかできないアプローチを進む。都会ッ子は軍手着用、ステルスラバーで来るように。乾燥している時期でさえ、スケートシューズでは来たくない。でも泥だらけになるモッタよりは、アプローチが楽と感じるのは俺様だけなのだろうか?
ひととおり参加者に説明をし、いくつかの目ぼしい岩を見てもらうが、やっぱり<ウィル>なのか。初めて来たボルダラーがすかさず下地の整備をし、登る権利を買ってくれた。トライも早い。実力も凄い。なによりトライがカッコいい。この日集まってくれた人達のレベルの高さ、一緒にセッションできる喜び。
この日、<ザ・ガーデン>での雰囲気は凄かった。初めてクライミング仲間と小川山に行った時、初めてヨセミテに行った時、そんな10年近く前の感覚に似た雰囲気を見ることができた。ホールドの“お友達ポイント”を重ねて行くことを最優先とする俺様のスタイルも、興奮して関係なくなってしまう。前日のマックスのトライ、ハルカのふざけたトライ。目の前には未登の綺麗なラインがあってと。あの不思議な高揚感はなんなのだろう。俺様がセッションリーダーでありたいという、あの闇雲さ加減。結局無謀な突っ込みは爪を半壊させただけなんだけど。
撮影で客観性を取り戻すと、このセッションでの質の高さがよくわかる。みんな落ちる寸前まで自分の完登を疑わない、しかし落ちるとわかった瞬間の表情。その少しの間を冷静に見るのは何よりも面白い。最高のセッションに参加できなくなった代償なのだから、それくらいのニヤリ感は許してな。
結局完登者はでなかった。コンディションも良く、マックスがいいところまで行ったのだけれどね。まー、いい宿題になったじゃないか。どうせまた俺様の勝ちだがな