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黒い集団
かつて親父の実家は中国地方で牛乳工場を営んでおりました。

 かつてと言うことで、15年程前に廃業しました。工場長というか経営者は爺様だったのですが、この爺様、親父や俺様を生んだだけあって、眉毛が極太で爪楊枝1箱分刺せるくらい、百円ライターが乗っかるくらい、いやいや、俺様の爺様だけあって、よっぽどのマニア性というか、オタク性というか、そう凝り性なんですね。原価と販売価格も考えず、豆から挽いたコーヒー牛乳とか、サッカリン・チクロの合成甘味料全盛の時代に砂糖にこだわるとか、ちっとも商売を前提としていなかったみたい。今では親父も笑い話にしてはいるものの、若い頃は研究ばかりで儲けを度外視したやり方、節税もせず税務署から表彰されてどうすると、かなり反発していたらしい。

絶対にサラリーマンになってやる!

 この爺様、ひたすら研究することが楽しくて、庭に猿、ニワトリ、ヤギ、羊、牛、犬、ウサギ、果ては超巨大な松やら錦鯉等、あげればキリの無い程、動植物を飼育していました。この生命を管理する類の仕事が天才的である爺様、その逸話伝説には事欠かないのであります。ま、牛乳作りもこの延長線上にあって、趣味のヒトツだっただけなんでしょう。

 親父がアポロな小学生だった頃。
爺様はいっとき闘鶏にはまっていたらしく、軍鶏を掛け合わせて強くすることに熱心だったようです。で、何が逸話伝説かといいますと、この闘鶏というのは賭け事の対象で、参加する方々というのは凄みとお金のある人達。いつの頃からか、その凄みを利かせた黒い車が、ずらずらと何台も、爺様を訪ねてくるようになったというのです。工場は土手際にあったのですが、その土手に某映画よろしく、一列に黒い車が並び、子供心に何か恐ろしいことが起こるのではないかと不安になったそうです。バタンバタンと重い音を響かせ、出てくる異形の集団。はるばる岡山や広島からのお客様だそうで、その恐ろしい光景の中心には爺様がいて、皆が頭を下げて鶏を受け取り、来た時のように一列になって帰っていく。うちは牛乳屋のはずだよね?親父の苦悩も分かるってもんです。またうちの爺様ときたら、現代のマニアと同じように、横柄に「また感想聞かせてよ、次のに活かしたいから。」なんて言っていたりするらしいのです。相手が誰であれ、決して金を取らず、あくまでも興味は研究成果のみというホント道楽。動物愛護の精神なんてカケラもありません。また異形の集団も、そんな横柄な男に素直に頭を下げるあたりは、力量と共に躾の行き届いた立派な?集団なのでしょう。

爺様のこしらえた鶏、死ぬほど強かったそうですよ。

つづく
by b3plus | 2005-05-31 22:29 | 飛ぶ
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